陶心陶語

備前徳利の愉しみ方

 

 

 

【備前の徳利を愉しむ】

徳利には、伊賀・信楽・志野・織部・粉引や染付などがあり、それぞれに特徴があり、それぞれに深い風趣・趣きがあります。

なかでも、備前の徳利は趣き深い色合いと心地のいい手触りを愉しむことができて、また、お酒をより美味しくいただくための最良の器としてお薦めしております。

ここでは、愛玩することによって変化する上質な肌合いを愛でる備前の徳利の愉しみ方をご紹介いたします。

 


 

 

① 備前の徳利を買ってくる。

 

 

 ② 愛用の酒器を持ち出し、くつろぎの晩酌。

 

 

 ③ 今日買ってきた備前徳利をおもむろに取り出し、仲間入りさせる。
   備前徳利を肴に、ゆったりとした時間を。
   手にとったり、撫でてみたりしてじっくりと眺めてみる。

 

 

 ④ 今日は使わずにおきましょう。
   使いたい衝動をしかと押さえ、あくまで今宵は、眺めるだけにとどめます。

 

 

 ⑤ お酒の時間が終わる頃、ぐい呑に最後の三滴を残します。
  この三滴を今日買ってきた備前徳利に呑ませます。これが肝心。

 

 

 ⑥ 僅かに手指に垂らしたお酒をやさしく撫でるように湿らせる程度につけます。
  そうしてそのまま洗わずに一晩置いた備前徳利を次の日、初めて使います。

 

 

 ⑦ 毎度の使いはじめには、水道水に潜らせすすぎます。
  使い終わりには、水道水でさっと清めます。
  その後は、風通しのあるところに置いてください。

 

 

 ⑧ 使用中に備前徳利の口元から一筋のお酒が垂れてくることがあります。
  それは、徳利が自ら呑みたがってのことですので、撫でつけ呑ませてあげます。
  晩酌おわりの最後の三滴もお忘れなく。
  これを繰り返しつつ愛玩することで、備前徳利の魅力はさらに
  深まり趣きが増してゆきます。

 


(監修)黒田佳雄

 

 

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