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魁の心で七十年
昭和十年(一九三五年)に父、黒田領治が創めた黒田陶苑は、今年七十周年を迎えました。また、長男として家業を継いだ私の陶業五十年の年でもあります。
創業当時は、北大路魯山人先生の陶磁器作品の専売舗「黒田風雅陶苑」として発進しその後、他の陶芸家も取り扱うようになり、黒田陶苑といたした経緯がございます。戦災で店舗とともに跡形もなく焼失した魯山人の篆刻看板「風雅陶苑」は、私の記憶に今も大きく残ります。
黒田陶苑とともに同時代を歩んだ陶芸家たちの多くは、後に大家となり、昭和の陶芸界を代表する存在になってゆきました。振り返れば、彼らは常に先鋭の気風と高邁な精神を持ち、新しく美しい陶磁の美を追究された人々であったと思います。革新的な試みを誰よりも早く先進追求し、今までにない新しい美意識を喚起してゆきました。
黒田陶苑の創業からの精神である魁(さきがけ)の心は、彼ら革新的な陶芸家たちに共感共鳴し、ともに時代を拓いていくことに繋がったことでしょう。銀座が文化の発信地という環境も大きく影響したはずです。
私は、革新が伝統に変わる瞬間を見てまいりました。此処にとりあげた陶芸家は、黒田陶苑と深い繋がりを持った多くの陶人の内のほんの僅かにすぎません。小山冨士夫先生をはじめ、私にとって忘れがたい人々は、同時に黒田陶苑七十年の歴史と財産であります。
後継ぎになる息子に託した黒田陶苑の魁の心は、銀座のこの地で次なる伝統を創る革新的な陶芸家を、皆様にご紹介することになるでしょう。お見守りくださり、ご指導ご支援を賜る皆様に深く感謝いたします。
今後とも銀座 黒田陶苑をご愛顧くださいますようお願い申し上げます。
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| 黒田和哉(銀座 黒田陶苑主人/黒田陶々庵) |
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